長編童話の書き方1
長編も短編も基本的な書き方は同じです。ただ、小説は大人が読むので冒頭で引き込ませ「起、承、承、承」と進んでいけますが、童話は読者に小学生低学年も含まれるので、長いページにはついていけなくなります。
そこで彼らにもスムーズに読んでもらうための「工夫」が必要になるわけです。
100枚の作品を書く場合は7枚から10枚を目安に章に分けます。
1章ごとにテーマを決めて「起承転結」にまとめます。それを10章書けば100枚。仮に7枚ずつであれば、14章で100枚近くになります。
たとえば12歳の男の子が一人旅をする話に決めたら構成表を作成します。
旅の目的
1. テレビで見た観光スポットに行きたくなった
2. 気ままな一人旅に憧れがあるから
3. 一年前に別れた小犬に会いに行く
1は、大人ならわかりますが、小学生は考えにくいです。そういう子供もいるかもしれませんが少数派です。
2は大人の感傷が勝ちすぎています。小学生は旅行資金もなく、一人旅は心理的にも怖いはずです。そこで残ったのが3になります。
男の子が遠くの親類に預けた愛犬に会いに行く設定なら可能です。一年前、橋から落ちたかのか、岩の上で小犬がふるえていました。
小犬を救った彼は自宅で育てます。やんちゃで甘えんぼうの小犬を手離すことができなくなりました。ところが、家族がその土地を離れて都会に引越さなければならなくなりました。が、どうしても小犬を連れていくことができないのです。(小動物は飼えても犬はダメなマンションだから)
泣く泣く別れて、都会での暮らしにも慣れたある日、飼っていた兎が死んでしまいました。男の子の心には、あの日別れた小犬のことがよみがえるのです。あいつ、元気でいるのかな……。会いに行きたくなった彼は、夏休みを前に一人でおばあちゃんの家に行く計画を立てる……と、これなら小学生でも旅に出る動機が成立します。
要は、男の子と小犬との「絆」を深く描いておくことが大切です。読者の共感を得ることにつながるからです。
作者が書きたいものを書きたいように書くのであれば日記でも事足ります。しかし、創作はそういうわけにはいきません。作者が書きたいものを「読者が読みたくなるように」書いていくのが原則だということです。
旅は人生を象徴しています。主人公にとって数々の出会いや、別れ、試練をのりこえていく出来事に読者が共感して結末を期待する。——それが長編のスタイルといえるでしょう。
次は構成について。
浜尾

制作|随筆春秋事務局

