一般社団法人 随 筆 春 秋
2026年4月29日 佐藤愛子先生ご逝去 満102歳
直木賞作家 佐藤愛子の誕生と業績
📍佐藤愛子先生御生誕102年|随筆春秋創立33周年📍
ページコンテンツ (目次)
1. 誕生|直木賞作家 佐藤愛子
01. 直木賞受賞までの佐藤愛子の人生
初めの結婚に破れた佐藤愛子は、資産家の子息である田畑麦彦と再婚し、一女を設けた。
田畑麦彦は、新人賞クラスの小説家であったが、結婚後は、事業家としての活動に力を入れるようになっていった。
その事業だが、いっときは軌道に乗ったようにも思えたが、田畑の、ある意味、特殊な金銭感覚が禍して、結局は大きな借財を抱えるに至る。
その田畑麦彦と離婚をする。田畑自身の説明によれば 、「借金の火の粉が妻に降りかからないための偽装離婚」のはずだった。
だが、いざ離婚してみると、その直後、田畑は、銀座で飲食店を経営する女性と密かに入籍していた。それでも、元夫の莫大な借金を返すために身を粉にして働き続けた。
全国のテレビ局のワイドショーのご意見番から、作家としての本来の仕事まで、馬車馬のように走り続けたのであった。
そんな状況下で一気に書き上げた 小説『戦いすんで日が暮れて』 が、直木賞を受賞する。
1969年(昭和44)、45歳のときであった。
作品は、文庫本で50ページほどの短編小説だ。主人公の「私」が、元夫の借金返済のために東奔西走するという、実話をもとにした、奮戦記である。
以下にそのラストシーンを掲載した。作品中の桃子というのは、主人公の愛娘である。

02. 直木賞受賞作『戦いすんで日が暮れて』ラスト抜粋
暮れなずむ空の下で渓流のように車が走っていた。歩道橋に上って南の方を眺めると、既に暮れた鼠色の町の果からヘッドライトをつけた車が際限もなく湧き出して来て、まるで無人車のように機械的な速度でまっしぐらに走り、あっという間に足の下に消え去る。警笛も人声も聞えぬ、ただ轟々と一定の音のかたまりが、環状七号線をゆるがしている。
「うるさいぞオーッ、バカヤローッ!」
突然、私は歩道橋の上から、叫んだ。
「桃子、あんたもいってごらんよ」
桃子は喜んで真似をした。
「バカヤローッ、うるさいぞオーッ」
私と桃子の声は轟音の中に消えた。私はどなった。
「いい気になるなったら、いい気になるなーッ」
車は無関心に流れていた。沿道に水銀灯がともった。轟々と流れる車の川の上で、私と桃子は南の方を向いて立っていた。(終)
(佐藤愛子『戦いすんで日が暮れて』より抜粋)

03. 作品解説
「バカヤローッ」、という台詞が読者に鮮烈な印象を与える。
佐藤愛子は、直木賞受賞後も数々の輝かしい賞を受賞している。
だが、『戦いすんで日が暮れて』が彼女のもっとも素晴らしい作品である、と評する者がいる。「なんといってもその文章に勢いがある」というのが、この識者の観点である。
実は、友人である芥川賞作家 北杜夫の『楡家の人びと』ような大作を書いて世に出ることを青図に描いていた。
つまり直木賞受賞に関しては、「ちょっと待った」というのが、本音であった。

2. 業績|佐藤愛子先生 これまでの著書出版
01. 佐藤愛子・著書一覧(実用的)
佐藤愛子先生の著書一覧表を掲載した。文庫と新書とがある。
その内訳は、文庫:162冊、少年少女文庫15冊、新書:19冊、その他:12冊となっている。
合計で、200冊を超える。(正確には、208冊)
なお、その他:12冊というのは、直近の単行本である。
それ以外の単行本は、敢えて、カウントしていない。収拾がつかなくなるからである。
表の作成者は、随筆春秋代表 近藤 健。
内容は、2023年07月15日時点の、
全国書店ネットワーク e-hon(株式会社 トーハンが運営)にて検索確認済である。
(詳細)
この一覧は、代表の近藤 健が佐藤愛子先生の著書を読むために、20年ほど前からe-honを利用して作成していたものである。以下は、その近藤による説明文。
当初は、文庫のみの一覧(単行本を入れると収拾がつかなくなる)だったが、その後、新書も登場するようになったため、新書も加えた。
文庫は黄色い網掛※162冊(含,新装版)、初期のころの少女文学(文庫)はオレンジ色の網掛※15冊、新書は薄水色の網掛※19冊を付し、右下にはその他12冊として最新の単行本(=まだ文庫化されていない著書)を記している。
佐藤愛子の著作を読みたいという人の一助になれば幸いである。
随筆春秋代表 近藤 健
<佐藤愛子・著書一覧>
(実用的資料)
2023年7月15日 e-honにて検索
| 著 書 名 (文庫本) | 著 書 名 (文庫本) | 著 書 名 (文庫本) | ||||||
| 【集英社文庫】 | 【角川文庫】 | 【PHP文庫】 | ||||||
| 1 | 1977.06 | 鎮魂歌 | 1 | 1973.09 | 愛子 | 1 | 1992.06 | 老兵は死なず |
| 2 | 1977.09 | 天気晴朗なれど | 2 | 1979.11 | 一番淋しい空 | 2 | 1992.10 | ☆日当りの椅子 |
| 3 | 1978.04 | 赤鼻のキリスト | 3 | 1979.12 | 忙しい奥さん | 3 | 1996.05 | 上機嫌の本 |
| 4 | 1979.01 | 女優万里子 | 4 | 1980.01 | 悲しき恋の物語 | |||
| 5 | 1978.09 | 娘と私の部屋 | 5 | 1980.03 | ぼた餅のあと | 【光文社文庫】 | ||
| 6 | 1979.11 | 娘と私の時間 | 6 | 1980.04 | アメリカ座に雨が降る | 1 | 1985.04 | 幸福の終列車 |
| 7 | 1979.09 | 女の学校 | 7 | 1980.05 | 朝雨女のうでまくり | 2 | 1985.05 | 躁病のバイキン |
| 8 | 1980.02 | 男の学校 | 8 | 1980.06 | 黄昏夫人 | |||
| 9 | 1980.03 | 坊主の花かんざし(1) | 9 | 1980.07 | 九回裏 | 【小学館文庫】 | ||
| 10 | 1980.05 | 坊主の花かんざし(2) | 10 | 1980.08 | 総統のセレナード | 1 | 2018.03 | ★ソクラテスの妻 |
| 11 | 1980.08 | 坊主の花かんざし(3) | 11 | 1980.09 | 束の間の夏の光よ | 2 | 2018.06 | ★女優万里子 |
| 12 | 1980.10 | 坊主の花かんざし(4) | 12 | 1980.10 | 忙しいダンディ | 3 | 2021.08 | 九十歳。何がめでたい |
| 13 | 1980.11 | 男の結び目 | 13 | 1980.11 | さて男性諸君 | |||
| 14 | 1981.01 | 愛子の日めくり総まくり | 14 | 1980.12 | ☆加納大尉夫人 | 著書名(文庫本:少女文学) | ||
| 15 | 1981.04 | 父母の教え給いし歌 | 15 | 1981.02 | 或るつばくろの話 | 【集英社文庫 集英社コバルト・シリーズ】 | ||
| 16 | 1981.07 | 丸裸のおはなし | 16 | 1981.04 | 躁鬱旅行 | A | 1986.00 | 困ったなア |
| 17 | 1982.05 | 娘と私のアホ旅行 | 17 | 1981.05 | 一天にわかにかき曇り | B | 1987.00 | 青春はいじわる |
| 18 | 1982.10 | あなない盛衰記 | 18 | 1981.06 | 憤激の恋 | C | 1977.08 | 微笑みのうしろに |
| 19 | 1983.04 | ☆幸福の絵 | 19 | 1981.10 | 愛子の小さな冒険 | D | 1981.00 | 好きになっちゃった |
| 20 | 1983.09 | 愛子の獅子奮迅 | 20 | 1982.05 | こんな幸福もある | E | 1977.08 | 雨が降らねば天気はよい |
| 21 | 1984.03 | 女はおんな | 21 | 1983.01 | むつかしい世の中 | F | 1978.01 | 八重歯のあいつ |
| 22 | 1984.09 | 娘と私の天中殺旅行 | 22 | 1983.07 | 枯れ木の枝ぶり | G | 1982.03 | たいへんだア青春 |
| 23 | 1985.02 | 男たちの肖像 | 23 | 1987.01 | ☆日当りの椅子 | 【秋元文庫】 | ||
| 24 | 1985.05 | 男友だちの部屋 | 24 | 1987.10 | ☆こんないき方もある | 1974.00 | 愉快なやつ | |
| 25 | 1986.01 | 男はたいへん | 25 | 1988.01 | こんな考え方もある | 1975.00 | ただいま初恋中 | |
| 26 | 1986.09 | ☆花は六十 | 26 | 1988.06 | 老兵は死なず | 1975.00 | まんなか娘 | |
| 27 | 1987.05 | 古川柳ひとりよがり | 27 | 1989.01 | マドリッドの春の雨 | 1975.00 | マッティと大ちゃん | |
| 28 | 1987.12 | バラの木にバラの花咲く | 28 | 1989.11 | 愛子の新・女の格言 | 1976.00 | こちら2年A組 | |
| 29 | 1988.06 | 幸福という名の武器 | 29 | 1990.01 | 虹が・・・・・・ | 【秋元文庫 ファニー・シリーズ】 | ||
| 30 | 1989.06 | 娘と私のただ今のご意見 | 30 | 1990.08 | 夕やけ小やけでまだ日は暮れぬ | 1975.00 | おさげとニキビ | |
| 31 | 1989.12 | ひとりぼっちの鳩ポッポ | 31 | 1991.07 | 何がおかしい | 1981.00 | 美人の転校生 | |
| 32 | 1990.11 | 今どきの娘ども | 32 | 1992.01 | こんな暮らし方もある | 【秋元ジュニア文庫】 | ||
| 33 | 1991.09 | 女の怒り方 | 33 | 1992.09 | こんな女もいる | 1982.00 | こちら2年A組 | |
| 34 | 1992.01 | ☆凪の光景(上) | 34 | 1993.05 | ☆こんな老い方もある | 著 書 名 (新書) | ||
| 35 | 1992.01 | ☆凪の光景(下) | 35 | 1994.11 | ヴァージン | 【海竜社 新書】 | ||
| 36 | 1992.05 | メッタ斬りの歌 | 36 | 1999.05 | 虹は消えた | 1 | 2012.07 | ☆ああ面白かったと言って死にたい |
| 37 | 1993.10 | 淑女失格 私の履歴書 | 2 | 2013.03 | ☆幸福とは何ぞや | |||
| 38 | 1994.05 | 男と女のしあわせ関係 | 【文春文庫】 | 3 | 2014.02 | ☆そもそもこの世を生きるとは | ||
| 39 | 1995.01 | 憤怒のぬかるみ さんざんな男たち女たち | 1 | 1987.10 | スニヨンの一生 | 4 | 2018.04 | ★老い力 |
| 40 | 1996.03 | 人生って何なんだ! | 2 | 1997.03 | 我が老後 | 5 | 2018.08 | ★楽天道 |
| 41 | 1997.02 | 死ぬための生き方 | 3 | 1998.09 | なんでこうなるの (我が老後2) | 6 | 2019.08 | ガムシャラ人間の心得 |
| 42 | 1997.10 | 娘と私と娘のムスメ | 4 | 2000.12 | だからこうなるの (我が老後3) | |||
| 43 | 1998.06 | 戦いやまず日は西に | 5 | 2001.12 | あの世の話 | 【文春 新書】 | ||
| 44 | 1998.11 | 結構なファミリー | 6 | 2003.08 | そして、こうなった (我が老後4) | 1 | 2007.05 | 今は昔のこんなこと |
| 45 | 1999.08 | ☆風の行方(上) | 7 | 2004.09 | 冬子の兵法 愛子の忍法 | 2 | 2017.01 | それでもこの世は悪くなかった |
| 46 | 1999.08 | ☆風の行方(下) | 8 | 2005.01 | ☆血脈(上) | |||
| 47 | 2000.10 | 自讃ユーモア短篇集 1 こたつの人 | 9 | 2005.01 | ☆血脈(中) | 【幻冬舎 新書】 | ||
| 48 | 2001.02 | 自讃ユーモア短編集 2 大黒柱の孤独 | 10 | 2005.01 | ☆血脈(下) | 1 | 2016.10 | 人間の煩悩 |
| 49 | 2002.10 | 不運は面白い 幸福は退屈だ | 11 | 2005.12 | ☆犬たちへの詫び状 | |||
| 50 | 2003.04 | 老残のたしなみ 日々是上機嫌 | 12 | 2006.08 | それからどうなる (我が老後5) | 【ポプラ社 新書】 | ||
| 51 | 2004.11 | 不敵雑記 たしなみなし | 13 | 2007.09 | ☆冥土のお客 | 1 | 2016.06 | 佐藤愛子の役に立たない人生相談 |
| 52 | 2007.01 | 自讃ユーモアエッセイ集 これが佐藤愛子だ 1 | 14 | 2008.05 | 佐藤家の人びと 「血脈」と私 | 2 | 2018.05 | 佐藤愛子の役に立たない人生相談2 |
| 53 | 2007.02 | 自讃ユーモアエッセイ集 これが佐藤愛子だ 2 | 15 | 2009.09 | まだ生きている (我が老後6) | |||
| 54 | 2007.03 | 自讃ユーモアエッセイ集 これが佐藤愛子だ 3 | 16 | 2010.06 | わが孫育て | 【角川 新書】 | ||
| 55 | 2007.04 | 自讃ユーモアエッセイ集 これが佐藤愛子だ 4 | 17 | 2010.11 | ☆老い力 | 1 | 2017.09 | ★こんな老い方もある |
| 56 | 2007.05 | 自讃ユーモアエッセイ集 これが佐藤愛子だ 5 | 18 | 2011.05 | 今は昔のこんなこと | 2 | 2018.03 | ★こんな生き方もある |
| 57 | 2007.06 | 自讃ユーモアエッセイ集 これが佐藤愛子だ 6 | 19 | 2011.11 | 老兵の進軍ラッパ | |||
| 58 | 2007.07 | 自讃ユーモアエッセイ集 これが佐藤愛子だ 7 | 20 | 2012.03 | 院長の恋 | 【PHP 新書】 | ||
| 59 | 2007.08 | 自讃ユーモアエッセイ集 これが佐藤愛子だ 8 | 21 | 2012.09 | 老兵の消燈ラッパ | 1 | 2017.03 | ★上機嫌の本(新装版) |
| 60 | 2009.05 | 日本人の一大事 | 22 | 2013.06 | お徳用 愛子の詰め合わせ | 2 | 2017.04 | ★犬たちへの詫び状(新装版) |
| 61 | 2010.03 | ★花は六十 (改訂新版) | 23 | 2014.03 | 女の背ぼね | |||
| 62 | 2011.02 | ★幸福の絵 (改訂新版) | 24 | 2014.05 | これでおしまい | 【青志社 新書】 | ||
| 25 | 2014.11 | ☆楽天道 | 1 | 2017.07 | 破れかぶれの幸福 | |||
| 【新潮文庫】 | 26 | 2015.09 | かくて老兵は消えてゆく | 2 | 2017.11 | 愛子の小さな冒険 | ||
| 1 | 1988.02 | ウララ町のうららかな日 | 27 | 2017.09 | 晩鐘(上) | 3 | 2018.04 | ★冥途のお客 |
| 2 | 1992.12 | ☆こんなふうに死にたい | 28 | 2017.09 | 晩鐘(下) | 4 | 2018.12 | 神さまのお恵み |
| 3 | 2005.10 | 私の遺言 | 29 | 2017.12 | ★血脈(上)新装版 | |||
| 4 | 2017.09 | ★こんなふうに死にたい(新装版) | 30 | 2017.12 | ★血脈(中)新装版 | 著 書 名(その他) | ||
| 5 | 2021.08 | 冥界からの電話 | 31 | 2017.12 | ★血脈(下)新装版 | 2020.05 | 人生論あなたは酢ダコが好きか嫌いか[小学館] | |
| 32 | 2019.01 | 孫と私のケッタイな年賀状 | 2021.08 | 九十八歳。戦いやまず日は暮れず[小学館] | ||||
| 【中公文庫】 | 33 | 2022.01 | ★凪の光景(新装版) | |||||
| 1 | 1974.07 | ソクラテスの妻 | 34 | 2022.06 | ★風の行方(上) | 2019.12 | 気がつけば、終着駅[中央公論新社] | |
| 2 | 1975.06 | ☆その時がきた | 35 | 2022.06 | ★風の行方(下) | 2020.11 | 何がおかしい[中央公論新社] | |
| 3 | 1987.04 | ミチルとチルチル | 36 | 2023.06 | 愛子戦記 | 2021.11 | 愛子の格言[中央公論新社] | |
| 4 | 1993.10 | 窓は茜色 | 2022.09 | ★幸福とは何ぞや[中央公論新社] | ||||
| 5 | 1995.02 | 耳の中の声 | 【講談社文庫】 | |||||
| 6 | 1997.08 | ★その時がきた(改版) | 1 | 1974.12 | ☆戦いすんで日が暮れて | 2018.04 | ★加納大尉夫人/オンバコのトク[めるくまーる] | |
| 7 | 2018.04 | 男の背中、女のお尻 (田辺聖子共著) | 2 | 1976.03 | 花はくれない -小説 佐藤紅緑- | 2018.10 | 人生のコツ[扶桑社] | |
| 3 | 1976.09 | 黄昏の七つボタン(上) | 2022.09 | ★ああ面白かったと言って死にたい[コスミック出版] | ||||
| 【ハルキ文庫】 | 4 | 1976.09 | 黄昏の七つボタン(下) | 2022.12 | めげずに生きていく 佐藤愛子の言葉[リベラル社] | |||
| 1 | 1998.06 | 幸福のかたち | 5 | 1977.09 | 私のなかの男たち | 2023.03 | ★女の背骨[リベラル社] | |
| 6 | 1979.06 | 愛子のおんな大学 | 2023.07 | ★そもそもこの世を生きるとは[リベラル社] | ||||
| 7 | 2017.09 | ★戦いすんで日が暮れて(新装版) | ||||||

02. 佐藤愛子・著書一覧(網羅的)
上記の、随筆春秋代表・近藤健による「佐藤愛子・著作一覧」は、現在の読者が手に取りやすい文庫・新書を中心に、実用的な視点から整理されたものです。一方、随筆春秋会員による以下資料は、「直木賞作家 佐藤愛子の誕生と業績」という本HPの主題に照らし、先生の著作の全体像を正当に示すため、国立国会図書館サーチを用いて網羅的に調査したものです(といっても、作家・佐藤愛子の名前で出版された、紙の書籍に限ります)。その結果、件数は400件を超えますが、それは佐藤愛子先生の豊かな創作活動を反映したものであり、業績を正しく捉えるうえで必要な厚みと考えています。近藤代表の実用的な一覧とあわせて、補完的にご覧いただければ幸いです。
※国立国会図書館サーチ(NDL SEARCH)で、「編者・著者」の欄に「佐藤愛子」と入力し、新聞、週刊誌なども含め、媒体問わずで検索をかけると、数千件の結果が出力されます。一人の人間の業績として驚きべき数字です。
2025.11.19
<会員による佐藤愛子・著書一覧>
(網羅的資料)

3. エピソード|作家 佐藤愛子とその周辺
・遠藤周作と佐藤愛子
遠藤周作は、エッセイの中で、「灘中学校時代、通学電車で乗り合わせた彼女(佐藤愛子)は、我々のマドンナ的な存在だった」と記述している。その阪急電車の中で、遠藤周作は、佐藤愛子にアピールするために、吊革にぶら下がり、でんぐり返しをして、「ウィキウィキ」と声を上げ、チンパンジーの真似をした、とも。これらは、後年、悪戯好きの遠藤周作の作り話であったことが、佐藤愛子の筆により周知される。遠藤周作が、佐藤愛子とは仲のよい異性の友達であったことを思わせる微笑ましいエピソードである。
・川上宗薫と佐藤愛子(1)
川上宗薫は、たびたび佐藤愛子の自宅を訪れては、食事をし、泊まっていった。2人は恋愛関係ではないかと取沙汰する者もいた。誤解を払拭するために、佐藤愛子は、作品中の紙面を割いている。佐藤愛子はそのころ夫の田畑麦彦と同居していた。
・川上宗薫と佐藤愛子(2)
食事会に参加するため銀座を歩いていると、偶然、川上宗薫と一緒になった。すると、「なあ、愛ちゃん。おれ、今日、こんな大きなウンコ〇回もしたんや」などと彼はいう。それを佐藤愛子が、「そんなことは人前ではいわないものよ」とたしなめる。川上宗薫という人物は、佐藤愛子の表現をとおして観察すると、とてもユニークで面白い。世間的にいえば、いわゆる「破綻」した側面も持っているが、佐藤愛子はそれを大らかに受け止めている。そういう2人の関係性が面白く、読者を喜ばせる。
・川上宗薫と佐藤愛子(3)
借金に苦しんでいる佐藤愛子に、「なあ、愛ちゃん。おれ、今なら金貸せるよ。金額をいってくれないか」と川上宗薫が申し出た。後にも先にも、金を貸そうか、といってくれたのは、川上宗薫だけであった、と佐藤愛子は述懐する。官能小説の分野で成功していた川上宗薫には財力もあったからだろうが、夫(後に元夫)の田畑麦彦の借金に苦しむ佐藤愛子に、彼は、救いの手を差し伸べたのである。そのことに感謝した佐藤愛子は、川上宗薫が一番の異性の友達であった、とその文脈で記している。
・川上宗薫と佐藤愛子(4)
田畑麦彦と佐藤愛子の自邸に、川上宗薫はたびたびやって来ては食事をして行く。その日もやって来て、「明日は夫婦で東北に出張だから……」と断りを入れても、川上宗薫は帰ろうとしない。佐藤愛子は空腹を訴える彼のためにおにぎりを握ってやった。結局、川上宗薫はそのまま泊まり、翌日は、田畑麦彦と佐藤愛子とに挟まれ、川の字になって、東北の出張へ赴いた。川上宗薫は、官能小説の分野で成功を収めた人物である。芥川賞にも5回ノミネートされている。そんな川上宗薫だが、その素顔には、大人と子供とが同居したような面があった。それを佐藤愛子が優しい眼差しで描いている。
・佐藤愛子と北海道の別荘
60代のころ、北海道の浦河町 に建てた別荘で、ラップ現象やポルターガイスト現象と呼ばれる心霊現象に悩まされた。何人もの霊能者に相談し、約20年かかって、ほぼ解決した。北海道の浦河町は、襟裳岬もほど近い日高山脈の麓の町である。昆布漁をはじめとする漁業はもちろんのこと、日高は、競馬馬のサラブレッドの産地でもある。JRA日本中央競馬会の「日高育成牧場」という大規模な施設を擁している。そんな日高の町の海を見渡す丘には、アイヌ民族の古戦場がある。そこは、地形的に見ても、家が建つような場所ではない。佐藤愛子の別荘は、そんな場所に建築された。それが霊障の原因である、と佐藤愛子はある霊能者からアドバイスを受ける。現実の問題であれ、霊の問題であれ、佐藤愛子はどんな困難にも立ち向かう。
※「佐藤愛子先生・浦河町(北海道)の別荘」
(写真あり)
4. 随筆春秋代表 近藤 健 書き下ろし
◆ つれづれなるままに、愛子先生 (一)~(七)
⇒ https://ameblo.jp/j7917400/entry-12806426494.html
(※上記は近藤健本人が運営するアメブロにリンクしています)
(※以下は事務局が設けた目次です。原文に目次はありません)
(一) 私がエッセイを書き始めたのは……
(二) 北海道の太平洋岸に浦河町という……
(三) 二〇一四年の夏、浦河の別荘を訪ねたおり……
(四) 二〇〇八年十一月、私は神奈川県秦野市の……
(五) 私は、二〇一三年から二〇一九年まで……
(六) 二〇一六年に別荘を訪ねたとき……
(七) 私が随筆春秋に入会したのは、二〇〇三年……
5. 佐藤愛子先生・浦河町(北海道)の別荘


随筆春秋事務局

※うらかわ旅(浦河町役場商工観光課)ウェブ
https://www.urakawa-tabi.com/ より

監修|随筆春秋代表理事 池田 元
作品資料提供|随筆春秋代表 近藤 健
制作|随筆春秋事務局
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