小学生目線の難しさ1
宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」や新美南吉の「ごん狐」などは幅広い年齢層に愛され続けている名作といえるでしょう。
文学も創作芸術のひとつであって、作家の哲学、思想、祈りが織り込まれています。
子どもの視線を意識した場合、時には1年生から6年生までをあえて設定して書くことも必要になります。
とはいえ、小学1年生と6年生では読解力にも開きがあるでしょう。
漢字も1年生には平仮名とやさしい漢字にルビがありますが、6年生ともなれば漢字も難しくなってきます。
ある程度の漢字が読めるようになっているのが3年生で、よほど難しい漢字でなければOKです。そこで、3年生をターゲットにした童話を書いてみることにしました。
タイトルは「影の子」
主人公はトモキ。小学3年生。
ジャンルはファンタジーで10枚以上。
テーマは「友情」です。
起 同級生のトモキとよっちゃんは仲が良く、いつも一緒に学校から帰ります。
承 2人が仲が良いことを伝えるためのエピソード
●1年生の時、2人はサイフを拾って交番に届けます。落とし主からお札の手紙が届き、500円の図書券が4枚も入っていました。2人は恐竜図鑑を買って回し読みをしました。それが一緒に帰るきっかけになりました。
●2年生になると、遠足のおやつを買いにマーケットに行き、おばさんがマイバッグに食品を入れている姿を見てしまいました。
トモキは、ドキドキしながら店員に知らせましたが、よっちゃんがいなかったら、そんな勇気があったかわかりません。
●3年生になると、学校の帰りに白髪のおじいさんが道路の真ん中に立っていました。
ボケてしまっているおじいさんを交番に連れていきました。おじいさんの胸には名前と住所が書かれた名札があったからです。
若いおまわりさんは「ありがとうね、君たちがいなかったら車が危ないし、たいへんなことになっていたかもしれないよ」と言ってくれました。
(※注、1年の時に拾ったサイフを具体的に書く必要があります。ピンクのサイフで落とし主は入社したばかりの若い女の人でした)
●交番を出たあと、よっちゃんがしょんぼりしていることにトモキが気づきました。
「ぼくね、死んだじいちゃんを思い出したんだ」
よっちゃんは、一年生のときに、じいちゃんが死んだことがショックで、しばらく学校を休んだことを打ち明けます。
よっちゃんは『西の広場』へとトモキを誘いました。そこは、じいちゃんとの思い出の場所だったのです。次回につづく。
浜尾

制作|事務局 正倉 一文