小学生目線の難しさ2
●2人は「酉の広場」で「かげおくり」をはじめました。よっちゃんが死んだじいちゃんとよくやっていた遊びです。
●影法師をまばたきしないで見つめ、空を見ると印画紙で映し取ったみたいに切り取られた影がくっきりと見えるのです。
(※注、3年生の教科書に載っている、あまんきみこ作「ちいちゃんのかげおくり」から題材を取っていますが、反戦をテーマにした悲しい物語なので「友情」のテーマとはリンクしないため、ここでは「かげおくり」だけを取りあげました)
●トモキは「かげおくり」遊びが楽しくなり、時間も忘れて夢中になりました。
2人は笑い合って、何回も「かげおくり」を楽しんだ。日が暮れはじめてくると、トモキはふと、思いついたように
「よっちゃん、今度の日曜日、国立科学博物館の恐竜展に行こうよ」といった。
「うん、行きたい」と、よっちゃんもその気になった。
トモキはどうしても恐竜全身骨格が見たかったのだ。
日曜日、2人は最寄り駅で待ち合わせをした。ところが、10分待っても、20分待ってもよっちゃんが来ない。
(どうしたんだろう? ねぼうかな? 遅刻なんて見たともなかったのに……)
とうとう1時間たっても、よっちゃんは現れなかった。トモキはアタマにきて、1人で行くことにした。
(※注、このあたりから歪みがはいります。が、何か物足りません。待ち合わせに来ないよっちゃんに対するトモキのショックを強める一工夫が必要になります)
日曜日、2人は最寄り駅で待ち合わせをした。トモキは、母さんが作ってくれやサンドイッチを、よっちゃんに食べてほしかった。レタスとバターがのった卵焼き入りのサンドイッチは母さん自慢の特製なのだ。それと、双眼鏡を持ってきた。よっちゃんが楽しそうにレンズをのぞき込む姿が目に浮かぶようだった。ところが、10分待っても、20分待っても、よっちゃんが来ない……。
(※注、この文をつけ加えることでトモキのショックがさらに強まります。子どもなのでスマホがないにしても、思いがけないすっぽかしで頭に来たトモキの心理、行動を読者も共感せざるを得なくなります。ひとりで行った博物館や、全身骨格がどうだったのか書くべきことがありますが省略します。「ちいちゃんの影おくり」を知ってる子、知らない子にも通じるように書くことが難しいところです)
次回につづく
浜尾
この7月1日に、立原えりか先生が亡くなったと、むかしの教室仲間から連絡がありました。
87歳でした。くわしいことはわかりませんが、全身の力がぬけたようなショックを覚えております。
2025年7月26日
絵本作家 浜尾 まさひろ

制作|事務局 正倉 一文