小学生目線の難しさ3
(なんだい、自分からともだちでいてくれるよね? なんていっておきながら……)
よっちゃんから裏切られたような気持ちになったトモキは一人で行くことにした。
次の日、学校にいくと、よっちゃんは欠席していた。よっちゃんのいない空席を見つめながら、トモキはぽかんとしていた。
そのとき、担任の佐々木先生が教室に入ってくると、
「みんなに話があります。福田くんがお父さんの仕事の都合で、急に大阪に転校することになりました」
「えっ?」
と、耳を疑ったのはトモキだった。
急な話で、どうしていいのか、わからないでいた。放課後になると、トモキは掃除当番だったことも忘れて学校を出ると、ぼんやりと歩きはじめた。
●トモキは家に帰る気持ちになれず、土手にこしをおろして川をながめます。
●よっちゃんなんて、遠くに行っちゃえばいいんだ、と思いながら石を投げつけます。
●それでもトモキの足は「西の広場」にむかっていました。
広場の中央にランドセルをおくと、またこしをおろして空をながめた。いろんなことを考えているうちに、日が暮れかかっていた。
(あれ?)トモキは首をかしげた。足もとにあるはずの影が見あたらないのだ。歩きまわってみても、どこにもない。あきらめて帰りかけると、『おい、トモキ』
ドキッとした。掃除当番をズルしたことを思い出した。誰かに呼ばれたと思ってふりむいた。けれど、誰もいない。
『トモキ!』「あっ!」
いつのまにか、となりに同じくらいの子どもがいる。全身が、灰色に染まっていた。
「なんだ、おまえ……影じゃないか」
トモキが呼びかけると、『そうだよ、おまえの影だ』と、影の子がいった。
「なんだって? 僕の影……?」
トモキはびっくりした。
「影ならぼくの足もとにあるのに、どうしてとなりにいるんだ?」
※『トモキにいいたいことがあるから、そばによったんだよ』「……」『なあ、トモキ。よっちゃんに会いに行かないのか? 転校しちゃうんだぞ』
(※注、台詞が回りくどいので簡略化します)
「どうしてとなりにいるいんだ?」
『いいたいことがあるからだよ』
「……」
『よっちゃんに会いに行けよ』
「どうでもいいよ」
次回につづく
浜尾

制作|事務局 正倉 一文