第46回 浜尾まさひろ 童話教室

浜尾まさひろ 童話教室
CG:正倉 一文

小学生目線の難しさ3

 広場の中央にランドセルをおくと、またこしをおろして空をながめた。いろんなことを考えているうちに、日が暮れかかっていた。

 (あれ?)トモキは首をかしげた。足もとにあるはずの影が見あたらないのだ。歩きまわってみても、どこにもない。あきらめて帰りかけると、『おい、トモキ』
 ドキッとした。掃除当番をズルしたことを思い出した。誰かに呼ばれたと思ってふりむいた。けれど、誰もいない。
『トモキ!』「あっ!」
 いつのまにか、となりに同じくらいの子どもがいる。全身が、灰色に染まっていた。
「なんだ、おまえ……影じゃないか」
 トモキが呼びかけると、『そうだよ、おまえの影だ』と、影の子がいった。
「なんだって? 僕の影……?」
 トモキはびっくりした。
「影ならぼくの足もとにあるのに、どうしてとなりにいるんだ?」
※『トモキにいいたいことがあるから、そばによったんだよ』「……」『なあ、トモキ。よっちゃんに会いに行かないのか? 転校しちゃうんだぞ』

(※注、台詞が回りくどいので簡略化します)

制作|事務局 正倉 一文