📕随春POP‐UP
2025.05.25
・随春ポータル では 2025/5/25 📕随春POP‐UP を公開しました。・同年 5/30 会員規約 を新規掲載しました。 事務局 正倉 一文
風景構図・湘南の海から天城へ思いを馳せるの巻(clickで表示)
【 スポットライト1 】
帝劇地下一階
―随筆春秋小劇場―
其の壱
七里ヶ浜の波音に誘われ、相模湾の夕映えが広がる。江の島は暮色に染まり、遠き天城の峰は朧げに横たわる
正倉 一文
其の弐
七里ヶ浜の波は静かに息づき、夕映えの中で江の島は影を伸ばす。相模湾の向こう、天城の峰は薄霞に揺らぎながら、一日の終わりを見届ける
正倉 一文
天城連山
かつて、伊豆半島南部に暮らす人々にとって、東西に横たわる天城連山は、峠道の中でも最も険しい難所であった。の都・東京はおろか、三島の街さえ拝まずに一生を終える者もあったという。嗚呼、悲願の天城越え。この峠道に、石造りのアーチ型トンネルが開通したのは、1905年(明治38年)のことである。その後、1926年(大正15年)発表の川端康成『伊豆の踊子』にそれは登場し、旅情と郷愁の舞台として広く知られるようになる。やがて、トンネルは、峠越えの象徴的存在に——。さらに、1959年(昭和34年)発表の松本清張『天城越え』により、苔むした石造りの構築物は、人の情と運命とが交錯する場所としてより深い印象を放つようになった。そして今、筆者の耳には、坂本冬美の情熱的な歌声が響く——天城越え~♪
正倉 一文

こんけんどう先生
まあまあかな↑
そういえば、以前、愛娘と訪れたことがあったっけな
天城かぁ、なにもかもみな懐かしい—— ⚓
(↓click!)
旧・天城トンネル

正倉 一文

正倉 一文
動画の構図を見てまず気になったのが、
江の島の向こう側に霞んで佇む伊豆半島。
そして、そのずっと左側に最も高くそびえるピーク——あれは何の山だろうか。
天城山ではないかと思っていた。
しかし、そもそも“天城山”という単独のピークは存在しない。
実際には、天城連山(天城山脈)という東西に延びる尾根があり、
最高峰は万三郎岳(標高1405m)である。
天城山とは、その天城連山の全体を指していう呼称なんだ。
ちなみに、青森県の「八甲田山」も同じだ。連山の内側が大きなカルデラで豪雪地帯だ。その全体を八甲田山と呼んでいる。
動画ではほぼ東からその天城連山を眺めているため、
尾根の広がりは視認しづらく、
最も高い地点だけがピークとして認識される。
したがって、動画で見えている山は天城連山の一部であり、
その中でも最高峰となる万三郎岳という理屈になる。
Google Mapと首っ引きで検証した結果、
これが最も辻褄の合う結論だ。人に聞かれたら、アバウトに
「アレは天城山だよッ」とお茶を濁しておけばいいのではないか。
下手に説明をはじめるとその人の眉間に山脈=皺が出来るかもヨ、汗。
百聞は一見にしかず、下を↓clickして地図を見てくれたまえ!

正倉 一文
ここまで来たらまったくの余談だけど、
伊豆半島の付け根を結ぶラインは、東京側からいうと、
熱海 ‐ 函南 ‐ 三島 ‐ 沼津 となるんだよ。
↑地図を見てくれ!
このラインの南側が伊豆半島という大きな山地なのさ。
その山地への出入り口がむかしから三島と決まっていた。
場所と地形から見てもなるほどと頷ける。
ちなみに函南は高台にある町で療養型の病院などの施設もあるね。
風光明媚で保養に向いた場所なのさ。
今は、NTT東日本伊豆病院っていうのがあるけど、これはかつては、
日本電信電話公社の結核療養の専門病院だったんだ。
熱海から函南、三島と来て、南西に下ると沼津で、北東へ上ると箱根だ。
もっとも、函南から直接、箱根に出る道もあるけど、ちょっと険しいね。
熱海 ‐ 函南 ‐ 三島 ‐ 沼津のラインは重要だね。
試験には出ないけど……
天城を描いた川端康成や松本清張もこの程度の知識は当然持っていたと思う。
どちらも物書きだからネ。

こんけんどう先生
うん、まあそういうことだな。
それからひとつ忘れてるぞ。
天城は、ワサビの産地だ。
信州の安曇野と並んで超有名ジャンヨ~!
覚えておきたまえ。
ちなみに、ワサビは、日本では、安曇野と天城が、ワンツーフィニッシュだよ。
料理に携わる者で知らない者はないさぁ⤴ 🦁

北の翁
あんたたちッ! 忘れては困るなあ。
伊豆の天城といったら他に思い出す作家はないのかい?
——井上 靖 じゃよ。
『しろばんば』『夏草冬濤』『北の海』という自伝小説を書いているんだな。
主人公は結局、旧制・沼津中学に進学するのじゃが、
幼少期は、祖母の家の農家の土蔵で育つんだ。
朝起きると祖母は「おめざ」といってその子供に大きな飴玉をひとつしゃぶらせるんだ。
後年、井上 靖が述懐している。
お陰で自分は子供の頃、虫歯が多かったと。
場所は、天城の湯ヶ島だ。
湯ヶ島といえば、天城連山南東の山麓で、「天城越え」の出発点であり、終着点でもあるのさ。
井上 靖は後年『氷壁』という社会派小説でも世間の注目を集めている。
そんな井上 靖も、川端康成と並んで、「ノーベル文学賞」の候補となっているんだ。
もっとも周知の通り、川端康成は受賞している、その時ライバルだった『金閣寺』の三島由紀夫をおさえてな。
川端と三島の間には実はいろいろあったんじゃよ、今は触れないが……。
そして、松本清張はそんな川端康成を意識して、それを越えるべく『天城越え』という社会派小説を描いたといわれているのじゃ。
こうしてみると天城を題材とした小説家は3人とも国宝級の作家であるわけだな。
天城っていうのはそういうところなんじゃよ。

こんけんどう先生
爺さん、あんた誰だか知らんが失礼だな。
もちろんそれぐらい知っているさ。
でも改めてそういわれると、
ここ七里ヶ浜から望む天城山は、まるで
後光が射しているようですな、ウン。 🌄

正倉 一文
◆伊豆文学散歩
(↓click!)
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(作:正倉 一文)
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江の島と江ノ電(イラストACより)
一般社団法人 随 筆 春 秋
制作|事務局 正倉 一文
【スポットライト2】
The Zuishun Small Theater
― 随筆春秋笑劇場 ―

こんけんどう
車のハンドル握っていたら、連れ合いがカーナビの見慣れないボタン見つけましてねッ、ちょっと押してみたら、なんとテレビが映ったんですよ。あの時ほど肝を冷やしたことはありませんでした。カーナビってテレビになるんですね! 5年前購入した車の新しい使い方 覚えましたヨッ、ええ

正倉 一文