第3編 思わずこだわってしまった泡沫話

第3編 思わずこだわってしまった泡沫うたかた

―――たまたま知った関心事についつい深入りしていました――

 

 

02.  ヘルプマーク 今や私も必携に

02-1.  ヘルプマーク普及に期待

 

   


最近、『室蘭民報』の本欄で「ヘルプマーク」の利用や普及についての寄稿が多く、北海道の胆振地方でも認知度が高まっていることはうれしいことである。

ただ、2018年6月11日現在の導入状況は、47都道府県中、北海道を含めて22にとどまっている。

東京都で始めたのが2012年10月であるから、5年半を経過しても都道府県の半数に満たない。

導入が進展しない課題は何だろうか。

また、援助を必要とする人が赤い目立つマークを身に着けていても、マークの意味することも援助の仕方も、援助する側がわからないのでは効果は発揮されない。

認知度はまだまだ低いのが現実のようだ。

2020年開催の東京五輪の外国人観光客対応も意識され、2019年7月、JIS記号に追加された。

これにより、「ヘルプマーク」が全国共通のマークになり、多様な主体が多様な場所で本格的に活用・啓発できるようになった。

今後は、広く普及し、認知度の向上も急速に進むと期待される。人に優しい社会の実現に、このマークが一役を担うと信じている。

(2018年6月21日、日刊紙『室蘭民報』「むろみんトーク」欄投稿掲載、一部加筆)

 

02-2.  栗山監督 マーク広めて

 

   


拝啓 北海道日本ハムファイターズ監督 栗山英樹様

2018年6月19日、『北海道新聞』朝刊「興味深人」をお読みになったでしょうか。

かつて大手術の直前に、栗山監督の名前でプレゼントされたTシャツが宝物……という主婦寺地恵子さんへのインタビュー記事です。

寺地さんは今、「真っ赤なマークを知ってっ会」代表として、外見では分かりづらい障害や病気のあることを示す「ヘルプマーク」の普及を目指して奮闘中だそうです。

一般にはあまり知られていないこのマークを浸透させたいと、多くの人が集まるイベントなどでの周知を切望されています。

試合の時など、この赤地に白い十字とハート形が描かれているマークを、どうにかしてPRする方法はないものでしょうか。見た人に「あれは何だ」と思わせるだけでも、周知効果があると思います。

寺地さんの好きな言葉は、監督の「夢は正夢」だそうです。ぜひ地元自治体などとも連携し、その「夢」を応援していただければ……と、私も願っています。

(2018年6月24日、日刊紙『北海道新聞』「読者の声」欄投稿掲載、一部加筆)

 

02-3.  ヘルプマークの福島県普及に期待

 

   


「人にやさしいまちづくり条例」に基づき、全ての人が安心して利用できる建物に「やさしさマーク」を交付している福島県。「ヘルプマーク」も優しさの増幅に一役買っているだろうか。

偶然だが、福島民報の2018年1月18日と3月21日の論説を読んで、福島の地にヘルプマークの本格的普及への躍動を感じた。

最近のヘルプマーク導入の拡大に、福島県会津若松市出身の女性が創設した団体「全国ヘルプマーク普及ネットワーク」が貢献しているのが好例である。

2017年7月、JIS(案内用図記号)に追加された時の規定は、「援助や配慮を必要としている方が、身につけることで、周囲の方に配慮を必要としているのを知らせることができる表示」と簡潔になった。

国家規格となったことで、ヘルプマークが全国共通に標準化され、多様な主体が多様な場所で活用・啓発できるようになった。

福島県で、建物のやさしさマークとともに心のヘルプマークが浸透し、安心で安全な共生社会が実現するよう願う。

(2018年7月18日、日刊紙『福島民報』「みんなのひろば」欄投稿掲載、一部加筆)

 

02-4.  長崎訪問を機に考えた福祉の精神

 

   


2018年5月2日、妻と娘と3人で長崎を訪れ、世界遺産登録直前の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」をタクシーで回った。

大浦天主堂や外海の大野・出津集落などを訪問し、遠藤周作記念館にも立ち寄った。

あいにく滞在期間中は、ヒット曲のとおり「長崎は今日も雨だった」。絶景を見てもらいたかったと、運転手は何度も残念がった。

遅れ遅れの写真・資料の整理をしていて、ふと「ヘルプマーク」に思いが及んだ。援助や配慮を必要とする方が外出時に鞄などにぶら下げるタグで、特徴は赤地が目立つこと。

昔の仕事との関連で関心を持つので、早速、長崎県の導入状況を調べた。九州地方は最近導入した県がほとんどで、長崎県は2018年6月1日からだった。

実に感心した。考え方の説明や併用カードの記載法などが必要十分に練られ、遅れは神の祝福を待ったかのように、最近の障害者差別解消法や日本工業規格記号化の趣旨などが入念に織り込まれている。

ともすれば、ヘルプマークの普及・啓発も、2年後の東京五輪の外国人客を意識しがちであるが、長崎等では平和と共生の社会実現の中で思いやりの精神が位置づけられてほしいと思う。

(2018年7月20日、日刊紙『長崎新聞』「声・みんなのひろば」欄投稿掲載。一部加筆)

 

02-5.  ヘルプマーク導入を

 

   


外見で分かりにくい障害や疾患のある人が、周囲の配慮を受けられるようにと「ヘルプマーク」が作られ、各地で普及が図られている。私は大いに関心を持っている。

そのことを知っている娘は、地下鉄を利用する際は「優先席」の近くにいて、状況や効果を伝えてくれる。

ある日、娘の乗った車両にヘルプマークのタグをリュックサックに付けた男性が乗ってきて、「優先席」の前に立った。座っていた高齢者が「その赤い派手なものは何ですか」と、男性に尋ねた。

男性がヘルプマークのことを説明すると、高齢者は「私は元気だから」と、席を譲ったという。それを聞いて私はヘルプマークの真の理解者が1人増えたと思い、大いに満足した。

大分県では、手助けをしてもらいたいことなどを記す「ヘルプカード」を作り、配付していることを知った。

併せて「ヘルプマーク」を導入すれば、さらに県民へアピールできるのではないかと思う。検討してほしい。

(追記:大分県では2018年3月12日から「ヘルプカード」が導入されていた。大分県採用の無料配布携帯用はカードのオモテを大衆に示す簡易版であった。この方式ではアピール度不足が懸念された)

(2018年7月28日、日刊紙『大分合同新聞』「読者の声」欄投稿掲載。一部加筆)

 

02-6.  ヘルプマーク もっと知って

 

   


見たことがあるだろうか。赤地に白の十字とハートが入った「ヘルプマーク」のタグを。

義足を使用している方や内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からわからなくても援助や配慮を必要としている人が、鞄などに着け、周囲の人々に支援を必要としていることを知らせる。

また、災害や体調不良など緊急時に伝える「ヘルプカード」がある。愛媛県では2016年4月から導入され、「ヘルプマーク」は17年10月からである。

ところが、こんなに目立つマークを付けていても、知らない人には「見えているのに見えないマーク」となっている。実体験から、認知度の低さを痛感して「ヘルプマークを知って」と、愛媛県今治市在住の闘病女性がポスターを作り、周知・普及に奮闘しているという記事が本紙で紹介されていた。

愛媛県では先日の豪雨で被災された方々が多い。ヘルプカードは災害時・緊急時の迅速避難と思いやりの支援を可能にする目的でも無料配布されてきた。

利用され役立っただろうか、いちにちも早い復興を祈りつつ、先祖の故郷に思いをはせている。

(2018年7月31日、日刊紙『愛媛新聞』「こだま・読者の広場・門」欄投稿掲載。一部加筆)

 

追記

東京都福祉保健局の発表によると、2020年3月1日付で行われたヘルプマーク配布状況調査では、一部の市町村では未配付のところもあるようだが、全国47都道府県では、すべてで普及し配付されていた。東京オリンピック前の全国普及は達成された。

気が付けば、2023年1月現在、既に私も「ヘルプマーク」とカードの必携者になっていた。