あひる&ゆきなリレーエッセイ集


 

ミヤマキリシマ 花だより (その13)

 

 

「光」(by あひる)

 

常染色体優性視神経萎縮。その確定には遺伝子検査が必要となる。現在治療法はない。

まめが通っている療育の勧めで自宅近くの眼科を受診したところ、大学病院での検査になった。診断を受けてからしばらく、何も手につかなくなった。

進行はおそく失明はしない。病名の研究発表も最近らしい。幸い痛みもないし、保育園の生活には不自由を感じていないようだ。

私の障害手帳に視神経萎縮などによる視力低下と書いてあるので、まめはおそらくこの病だろうと判断して遺伝子検査は保留にしたものの、このままでいいのかという疑問は残る。

来年小学校に入学するために、就学前の相談で一番前の席から黒板の文字が見えるか、普通の教科書が読めるか問題になった。

最初の診察で暗い顔をしていた幸奈であったが、

「お母さんがそんな顔をしてはいけない! この子は嫌な顔しないで検査を受けたいい子ですよ」

と主治医から言われ、この人を信頼していこうと思ったそうだ。

現在視力は〇・二である。視力矯正はできないまめは将来車の運転が必要な仕事にはつけない。

私はまめに、大きくなっても運転はできないけれど他にたくさんの仕事がある事を話した。そして私が使っている、拡大読書機などの使い方などの話もした。

私は高校時代、大学病院に検査入院したことがあったが、原因不明の視力低下や頭痛は、――結局、改善できなかった。

学校を休みがちな私に、担任の英語教師は、具合の悪さは自分にしかわからない、予習が負担なら予習はしなくていいから。とにかく学校には出てきなさいと言ってくれた。

その割には容赦なく日本語訳をするよう指名された。私が「予習してません」と答えると、

Keep standing forever!

(永遠に立っておきなさい!)

と言われた。そして毎度の担任のそのセリフにクラスの皆が笑った。

特別扱いされない清々しさに、私も笑った。

次の学年ではトップクラスから落ちたが、ありのままの自分をだせるようになった私は、――以前より友達も増えた。

そんな人々との出会いが私の光だった。そんな出会いがまめにもありますようにと願うばかりだ。

 

 

 


 

 


 

「まめの運動会」(by ゆきな)

 

先月、まめの保育園最後の運動会が行われた。

見せ場の旗と組体操は、本番の一ヶ月前から家でも練習をしていた。特に旗の練習は気合が入っていて、旗の代わりに、つっぱり棒で練習をしていた。

まめが今の保育園に入園したのは四年前のことだ。

最初は、毎日のように泣いていた。

クラスの中で一番年上だったまめは、抱っこは必要ないと思われていたのか、他の子どもたちが、先生に抱っこされているのをみて、

「だっこしてください!」

と主張したこともあった。

四年間通った幼稚園。色んな経験をして、たくましく育った。今回の運動会は、まめにも私にとっても大事な、保育園生活最後の運動会だ。

旗を振るまめの表情は、凛々しくキラキラと輝いていた。

四月から小学生になる。マイペースで、少し泣き虫な、まめ。

色々な不安もあるが、運動会での姿をみて、きっと小学校生活も楽しくなる! そう思う私であった。

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